大阪で洗練された蕎麦が愉しめるのが、北新地の「喜庵」です。繁華街にありながら鄙びた風情ある店構えが目を引きます。深呼吸して年季の入った暖簾をくぐると昼間でも店内は薄暗く、凛とした空気が漂っています。ビジネスマンの多い平日と違って週末の昼はとても静か。独特の緊張感が漂います。
きょうは、ざる蕎麦(細打ち、普通打ち)をいただくきます。山葵をおろしながら蕎麦が来るのを待ちます。おろしたての山葵はよい香りですね(^^)。
蕎麦は、薫り良く、コシ、歯応え、喉ごし、どれも◎。素朴な田舎蕎麦とは対極にある洗練された蕎麦です。細打ちの方は、香りの立ち方が上品。普通打ちの方がコシの強さと噛み締めた時の蕎麦の香りが広がり方が違います。薬味は、刻みネギ、大根おろし、山葵。山葵をちょっとつけていただくと、おろしたての山葵の爽やかな辛さの後に、蕎麦の香りが口いっぱいに広がります。
蕎麦つゆは醤油が濃い目のキリっとした辛口。蕎麦の甘さが引き立ちます。蕎麦湯はサラサラ系。蕎麦猪口に注いで残った蕎麦つゆと一緒にいただくと美味しい。分量が上品なので、ちょっとだけ美味しいものを食べたい時にお薦め。気の利いた酒の肴も揃っているので、昼下がりに蕎麦屋で一杯という愉しみ方もできます。酒のアテとなる一品メニューは月替り。一つ一つが気が利いていて、魅力あるものが揃っています。以前、ここでいただいた「浅草海苔」は感動的な美味しさでした。
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●喜庵 (蕎麦)
住 所:大阪 市北区堂島1-3-37
電 話:06-6341-1882
場 所:JR「北新地」駅11-43出口から徒歩5分
JR「大阪」駅から徒歩10分
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羊乳チーズは今が旬。Casciotta d'Urbino(カショッタ・ドゥルビーノ)もその1つ。その名の通りイタリア・マルケ州のウルビーノ特産の羊乳と牛乳を混ぜて作ったチーズです。
*手前中央がCasciotta d'Urbino
ウルビーノは、アペニン山脈とアドリア海に挟まれたマルケ州の山あいの小さな町で、ルネッサンス画家のラッファエロの生まれ故郷として知られています。このチーズもルネッサンスの頃から作られ、今のように春の風物詩として親しまれていたそうです。色は淡いクリーム色。赤ちゃんのほっぺのような柔らかい肌触りとお餅のような弾力が特徴の愛らしいチーズです。食感はもっちりとしていて、噛み締める毎に羊乳特有のミルクの甘い香りミルクの旨みが口いっぱいに広がります。ハチミツと合わせると、ミルクの甘みがさらにグンと引き立ってなお美味しい。蜂蜜は柑橘系の花のものとの相性が○。
冬場に美味しくいただけるチーズは、熟成が進んで香りに癖があるもの、味わいがより濃厚なものが主流だったので、とても新鮮。ミルクの優しい甘味と香りには、やっぱり春の日差しが似合います。桜の開花予想が発表されたばかりで、まだちょっと気が早いかもしれないけれど、花見酒(ワイン)のお供にどうかしら・・・なんて思ってしまった私でした。
カラダが野菜を欲している時、野菜をたくさん食べたい時、短時間でささっと食事を用意しなければならない時に作るのが、焼き野菜のマリネだったり野菜の焼浸しだったりします。
●焼き野菜のマリネ
①カボチャ、茄子、ズッキーニ、パプリカ、ニンジン、小玉葱、アスパラ、トマト・・・等々
冷蔵庫の残り野菜を厚切りカットして油(オリーブオイルor胡麻油)をからませる。
②焼き色がつくまでオーブンで20分程度焼く。
③オリーブオイル・ワインビネガー・塩・胡椒・バジル・オレガノで作ったマリネ液に浸し
味が染みたらできあがり!
切って・焼いて・かけるだけの料理とは言えないような簡単料理ですが、彩りもきれいで、見栄えもするので、とっさのお助けメニューとして重宝してます。バジルなどのフレッシュハーブを添えたら、なおよくて、仕上がりが数段グレードアップします。
この料理は、飲むお酒によってアレンジが効くのも魅力。日本酒や焼酎を飲む時は、焼いた野菜を「そうめんつゆを酢と胡麻油で割った漬け汁」か、「ポン酢醤油」に浸せばOK。食欲のない時でもビネガー(or酢)の程好い酸味のせいか、野菜がたっぷり食べられます。これにキンキンに冷えたアルコールがあったら、我が家では立派な晩御飯。肉料理の前菜にする時もありますが、今夜は生ハムを添えて、これをメインにしてしまいました。
店先に菜の花が出回り始めると、もうすぐ春になるんだなぁ・・と思います。新緑を思わせる鮮やかな緑色、独特のホロ苦さ。目にも舌にも食卓に一足早い春を届けてくれます。
●菜の花の海苔巻き
菜の花の食べ方と言えば、辛し和えが定番。ほんのりとした苦味とツーンとした辛さが良く合います。菜の花が半端な量だけ残ってしまったような時などには、こんな風にちょっぴりよそ行きの姿に装いを変えて食卓に出すことも。
①さっと茹がいた菜の花を氷水にさらして色止めをする。
②濃い目の鰹出汁と辛子醤油を合わせた漬け汁に浸す。
③炙った海苔で巻いて2cm幅にカットしてできあがり。
簡単なのに、見栄え良く、ちょっぴり手が込んだ料理のように見える点がところが◎ 彩りも良く、酒の肴に小皿があと1品、2品欲しいような時にも重宝します。
1番好きな焼酎は?と聞かれたら迷わず
佐多宗二商店の
不二才(ぶにせ)と答えます。
不二才は、私が焼酎に開眼するきっかけとなった芋焼酎。色々な焼酎に出会いましたが私の中では今も不動のナンバーワンに君臨しています。焼酎に熱中した一時期は、
晩酌=焼酎だったし、栄の<匠庵>に通い詰めて焼酎を飲み比べに明け暮れ、蔵元めぐりをするため
鹿児島旅行(薩摩湯ったり食道楽)を敢行しちゃう程の盛り上がりようだったのですが、一昨年前頃から落ち着きを取り戻し、焼酎は家庭で飲むお酒の選択肢の1つに定着しました。
●佐多宗二商店の『不二才』
何が好きって、
栓を開けた瞬間の鮮烈な芋の香り!でしょうか。離れていてもわかるくらいガツンと「芋」してます。骨格がしっかりしていてキレがあり、芋焼酎らしい芳醇さ、甘味、コクのバランスが良い男性的な硬派な焼酎。ロックでも充分楽しめますが、この時期なら、燗で飲りたい。我が家では、焼酎:水=6:4で割り水しておいたものを黒ジョカで燗していただきます。とろ火にかけ、ジョカの注ぎ口から香ばしい芋の薫りが漂い始めたら火を止める合図。温めることで凝縮感のある芋の甘い薫りが際立ちます。
さっそく一口いただくと、まさに芋・芋・芋。コク、ふくよかさ、キレ、干し芋を思わせる凝縮感のある旨味、喉を通り過ぎる時に鼻から抜ける香り、飲み終えた後の余韻、どれも素敵。それぞれの瞬間に楽しめる焼酎で、やっぱり好みと再確認しました。相棒も焼酎なら芋派なんですが、ガツンと芋を主張しているものより、蒸かし芋のような柔らかな芋の甘さとほんのりとした余韻を楽しめるものが好み。ワインといい中国茶といい笑えるくらい二人の好みは首尾一貫しています。嗜好の方向性が全く違うのに、よく日々の食卓で折り合いがついているなぁ・・・と我ながら感心してしまいます。(日々妥協しているのは、多分相棒君)