まだ1年を振り返るには、ちょっと早いかもしれないけれど、今年は別れの多い年でした。数年来、我が家の食生活を支えてくれたChez Totoのオーナーともお別れです。
しばらくお店に行っていない間に色々と噂は耳にしていたのですが、先月お店を訪れたら新しいシェフに変わっていて、フロアのスタッフも新しい顔ぶれとなり、お店の雰囲気も変わっていました。メニューのスタイルはこれまで通りですが新しい料理が増えました。
*食前酒:ペルノー
*テリーヌ長野
*レンズ豆のサラダ
*トリップ
*ポトフ
*桃のコンポート
*フォンダンショコラ
*エスプレッソ
*ワイン:ラビ ブルゴーニュ
あら・・・っと思ったのが、料理が出てくる前に取り分け用のお皿が出てきたこと。シェアして食べるのが基本になりつつあるのでしょうか?サービスも変わりつつあるようです。
●テリーヌ長野
こちらは、新メニュー。猪肉を使った自家製パテです。旧Chez Totoの中でも特に好きだったのがパテ類。塩気をしっかり効かせた肉の旨みたっぷりのパテは、ワインのお供に好んで頼んでいました。今回いただいた猪のパテは、ポーションはこれまでと同様ですが、塩気が控えめで、猪らしいクセも押さえた大人しい作りになっています。もうちょっと味のメリハリがある方が好みかな。
●レンズ豆のサラダ
こちらは、ベーコンの旨味を吸ったレンズ豆を食べるビネガーをしっかり効かせたToto定番のサラダ。相棒のチョイスです。ポーションや盛り付けはこれまで通りだったのですが、酸がすっかり抜け、ベーコンの旨味が際立つ作りに変わっていました。
●トリップ
以前は、トリップと言えばトマト煮込みでしたが、新しいメニューでは、パン粉焼きに変わりました。ココット皿山盛りのピクルスと一緒に供されます。カリっとした香ばしさとトリップならではの独特の食感が楽しい。好みに応じて、マスタードと塩胡椒をしていただきます。熱々のうちは美味しいのだけれど、冷めてくるとマスタードの酸味と辛さの助けが必要。
●ポトフ
こちらの新メニューは相棒のチョイス。牛のモワルがついたポトフなんて信じられます?これにはびっくり。新生Totoのポトフを頼むと、もれなく骨髄たっぷりのモワルがついてきます。バラ肉がたっぷりなのは嬉しいのですが、食べ飽きてしまうのは、味を引き出す塩が足りないからなのかな。
これまで食べ慣れていた旧Chez Totoの料理は、味もサービスも店の雰囲気も、フランスのビストロの匂いが感じられて、そんなところが私にとっては、とても魅力でした。
新しいお店の料理は、見た目は似たようなビストロ料理なのですが、味の方向性は変わったような気がします。全体的に塩気と酸味が穏やかになったのかな。日本人テイストにシフトした印象。塩気と酸を押さえて上品にすることで、逆に脂っぽさが気になるようになった料理もあり、軽い方向になっている訳でもなく・・・。1皿を数人でシェアして食べる分には気にならない範囲かもしれませんが、1人で1皿食べようと思ったら、もうちょっと1皿の中に変化が欲しいところ。お店はシェアが基本のスタイルになっていくのでしょうか?料理だけでなく、フロアのスタッフも、サービスも、店の雰囲気も、メニューも変わり、Chez Totoという名前のお店ではありますが、新しい別のお店に生まれ変わったと考えた方が良さそう。
ビストロ料理の美味しさと気軽にワイン片手に食事をする楽しさを教えてくれたChez Toto。この店に出会うことでフランス料理がぐっと身近な存在になりました。これまでの感謝の気持ちと1つの時代が終わる淋しさに揺れながら、グラスを傾けた昼下がりの午後でした。
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● フランス食堂 Chez Toto (フレンチ)
住 所:名古屋市中区新栄2-25-3信交新栄ビル1階
電 話:052-265-2002
最寄駅:地下鉄「新栄」 徒歩5分
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chez Totoの元オーナーのクリストフ・ゲラン氏と奥様は、ニューカレドニアに移住、
現在、Noumeaの中心部でChez totoを営んでいます。