エポワスは、人をヤル気にさせるチーズです。思うところアリの相棒、今度は先日の
Beauneと同じ作り手のヴィンテージ違いを出してきました。先日は1997、今回は、1989です。
●Beaune Premier Cru Coucherias 1989 Pierre Labet
色は中心はルビー色で外側が淡いレンガ色。色からくるイメージ通り、良い感じに枯れた風合い。なんたって香りが素晴らしい。なめし皮、血、腐葉土、紅茶の香りの奥にほんのりと赤い花の香りを感じます。とても綺麗な香りです。アルコールは感じられず、時間を置くと、赤い果実を煮詰めたような柔らかな甘さが出てきました。飲み始めの頃は、ピークから下り坂にさしかかる・・・そんな状態なのかなと思ったのですが、最後まで香り、味ともヘタらないところが、このワインの強さでしょうか。
さて、チーズとの相性。熟成は進んでいるけれど、中心部分がまだ少し白っぽいエポワス(=買い足した分)と一緒に楽しみました。チーズとあわせることによって、ワインからトリュフのようなキノコ香がすーっと出てきました。獣香もしますが、「牛小屋・山羊小屋」系ではなく、皮や血を思わせる香り。上品な組合せです。綺麗に枯れたワインの場合、チーズが熟成しすぎてしまったものより、表皮、皮に近い部分、断面、中心に近い部分、それぞれに違った表情を持つ程度の熟成まできたものとの方が、ワインの上品な味を損なうことなく、良い感じで楽しめるようです。
同じ作り手のワインとチーズでも、ヴィンテージ違い、熟成状態の違いで、相性の度合いが全然違ってきちゃうんですね。一概に、このワインとこのチーズの相性が良いかどうかなんて、決め付けられないですね。ワインとチーズの奥の深さに、改めてしみじみ感じ入る秋の夜でした。