10月29日(土)2日目 雨が降ったり止んだり・・
旅先で雨音で目覚めるというのは、なかなか切ないものですね(涙)本当だったら雄大な十勝平野のパノラマを眺めながらの快適ドライブになるハズだったのですが、残念なことに鵡川町から2時間半に及ぶドライブは、霧が立ち込める中での移動となりました。
◆共働学舎 新得農場
自前の農場で育てた牛から搾った生乳を使ってナチュラルチーズを作っている農場です。牧草の土作りからこだわって作られるのは文字通りフェルミエタイプ(農場産)のチーズ。丸栄のチーズショップ「プティ・プレリ」のスタッフに薦められ、塩漬けした桜の葉の上で熟成させた「さくら」というチーズに出会ったのが、この工房を知ったきっかけです。この個性的な、オリジナリティー溢れるチーズを作った工房がどういうところにあって、どういう風にチーズ作りをしているのか・・・いつか機会があったら訪ねてみよう・・・そう思っていました。

今回は、日程的に工房の見学は無理とわかっていたのですが、牧場内は歩いて回れるようでしたので、牛たちが育っている場所や、周囲の雰囲気が見れるだけでもいいよね・・・と割り切って訪問することにしました。牛舎には、チーズのお乳用に育てられているブラウンスイス牛の他、ホルスタインもいますが、どのコも毛並みがぴかぴかと艶やか。どことなく愛嬌のある表情からも、彼らが大切に育てられているということが、伝わってきました。

敷地内の奥の高台の牧草地では、顔の黒い羊たちが(サフォーク種かな)のんびりとエサを食べていました。私たちの姿に気付くと、牧草を口にくわえたままぴたっと動作を止めて、じーっとこちらを見つめるその様子と、少々間が抜けた表情(←失礼)がなんともいえない雰囲気があって、見ていて全然飽きません。小雨の降りしきる中、しばし羊たちとのお見合いごっこが続きました。(お食事中、ごめんなさい・・)

牧場内には「ミンタル」というチーズショップとカフェを兼ねた場所があり、外の景色を眺めながら、チーズや飲み物を楽しむことができます。
●十勝きぶどう液
十勝ワインの産地で知られる池田町産の100%果汁のブドウジュース。フレッシュなブドウの実をそのまま皮ごと齧って食べたような味わい。酸味も爽やかな飲み心地。
●フロマージュブラン&ホエイジャム

フレッシュチーズのフロマージュブランに、チーズの製造過程で出来るホエー(乳清)を煮詰めたジャムが添えてあります。ホエージャムは、カラメルのような香ばしい甘さの奥にほんのりとした酸の旨味を感じるジャム。ヨーグルトにも合いそう。
●チーズ・アラカルト

3種類のチーズ(日替り)に、ライ麦の風味豊かなクリスピー・ブレッドが添えてあります。このクリスピー・ブレッドは、ノルウェーKavli社のもの(Kavli Crispy Thin) 塩気や余計なハーブ香がなくしっかり脇役に徹してくれる優れものです。手前から順に・・
コバン・・・ダブルクリームの乳脂肪が高いチーズ。口当たりは滑らかでクリーミー。塩気も表面の白カビも穏やかな食べやすいチーズ。イメージとしては、【CAPRICE des DIEUX】に近い感じ。
レラ・ヘ・ミンタル・・・アイヌ語で「風の遊び場」という意味の名前がついたセミハード系のチーズ。共働学舎のスタイルそのものを表したチーズなのでしょう。独特のナッツ香と凝縮したミルクの旨味が楽しめます。Kavliと一緒にいただくとまた違った味わいに。
プチ・プレジール・・プチ・プレジールとはフランス語で「小さな喜び」という意味。小ぶりな白カビチーズですが、カビの香りの立ち方にフランスの匂いを感じます。日本でもこういうチーズが作れるようになったんですね。ミルクの旨味が凝縮していく方向性が、フランス産のものに通じるものがあります。ねっとりとした食感といい、独特の発酵臭といい、熟成の進んだチーズ特有の美味しさがあります。ワインを呼ぶ味です(^^)
共働学舎さんのチーズは、牧草の土作りからこだわって、実直に作られたチーズ。今回いただいた中では「プチ・プレジール」が一番好みかな。リーズナブルに、フランス産に劣らないこの手の仕上がりのチーズを楽しめるのは、日頃の食卓にチーズが並ぶ呑み助家庭にとってはお財布的にもありがたいこと。我家のチーズプラトーのバリエが1つ増えました。
こちらのチーズ工房でチーズが作られる様子を説明を聞きながら見学したり、チーズ作り体験ができるのは、月~金の指定時間のみ。あらかじめ予約が必要です(どちらも有料)
◆新得そばの館 そばレストラン玄穣

前日の晩、寿司屋で「明日は新得に行く」と話した時、大将に「
新得?蕎麦を食べに行くの?」と言われて、初めて新得が
蕎麦の産地であることを知りました。地図にも国道38号線沿いに「そばロード」とちゃんと書いてあります。これを北上すると、工場・飲食店・土産物屋を併設した「新得そばの館」があります。店内の広い麺打ち場では、蕎麦打ち体験教室の真っ最中。こちらで簡単にお昼を済ませることにしました。頼んだのは「せいろ」 薄翠がかった色の蕎麦は、独特の青っぽい香りがします。蕎麦粉と小麦の割合が9対1の一休蕎麦ということでしたが、麺に粘り気があり、もうちょっとつなぎが多く入っている印象。冷たい蕎麦つゆの味も微妙。・・・たまにはこういうこともあります。帰ってから新得のお蕎麦屋さんを調べてみたら
色々ありました。JR新得駅近くの「みなとや」さんという老舗が有名のようですね。
◆十勝千年の森 らんらんファーム
チーズの中で一番好きなのは、シェーブル=山羊のチーズという私にとって、飼育した山羊のミルクを使ってチーズ作りをしているこの工房は外せません。到着したのは午後1時半過ぎでしたので、すでにチーズ作りは終了。窓越しに見えるのは清掃風景のみでした。工房隣の牧草地に目をやると、山羊たちの元気な姿を見ることができました。

柵に近づくと我々の存在に気付いた仔山羊たちが、メエエエーっと鳴きながら、好奇心一杯に駆け足で寄ってきて、柵に前足をかけて身を乗り出してきます。リアクションが羊ちゃんとは、大違いなのが面白い。さらに違う点がもう一点。山羊はとっても臭います。・・・うーん、でもこれはどこかで嗅いだコトのある匂い。・・と記憶を辿ったら、沖縄で闘山羊を見た後に食べた山羊汁の匂いでした。我が相棒が、初めて熟成の進んだシェーブルを食べた時に「山羊小屋が口の中に飛び込んできたような衝撃」と言ったけれど、この表現は、あながち外れてはいなかったよう。やんちゃな仔山羊さんたちですが、大きな鈴をつけたボスが、カランカランと鈴を鳴らしながら山羊舎に入っていくと、感心、感心。右へ倣え・・と皆さん整列して良い子で山羊舎に入っていきます。

さらに面白かったのは、ここの兎ちゃんたち。目まぐるしく駆け回ったかと思うと、物凄い勢いで穴を掘り始めて、そこを潜り抜けて行く。小学校で飼っていた兎は顔は下膨れで、寝ているコアラ以上に微動だにしなくて、お当番でお世話をしていてもちっとも面白みがなくて、兎ってそういうもんだ・・・と思っていたけれど、兎はちゃんと跳ねるのね。穴を掘る時のコシの踏ん張り具合とお尻がとっても可愛い。あー楽しかった!!
らんらんファームのシェーブルは、山羊のミルク特有の酸味と甘みを生かしつつ、マイルドに仕上げた食べやすいチーズです。「シェーブルは初めて」という人が最初のステップを踏む時にお薦めできるチーズです。山羊小屋の匂いに思わず涎が・・・となってしまう私にとっては熟成が進むとどうなるか・・・が気になるところです。
時刻は午後2時。3時間半ノンストップの強行軍で一路札幌を目指します。
つづく
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●共働学舎 新得農場(HP) (チーズ工房)
住 所:新得町北新得115
電 話:01566-4-4948
備 考:チーズ工房の見学・体験は月~金のみ(要予約)
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●新得そばの館(HP) (蕎麦)
住 所:新得町基線102番地
電 話:01566-4-5888
備 考:蕎麦打ち体験(2人1ねり¥4000 所要時間1時間 要予約)
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●十勝千年の森 らんらんファーム(HP) (チーズ工房)
住 所:清水町羽帯南10線
電 話:01566-3-3700
備 考:チーズ工房は窓覗きは可。ヤギ牧場は見学可。
飲 食:併設レストラン Cafe de Kisara
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