タイの首都バンコクを流れる「母なる河」チャオプラヤー河(Mae Nam Chao Phraya)川畔で短い休暇を過ごしました。
チャオプラヤー川では、光る川風を切って、貨物船、チャーター船、水上バス、乗り合い船が行き交う光景が見られ、かつて「水の都」と謳われた名残を今に伝えています。水辺の風景と川風と、対岸に聳えるWat Arunに魅せられた3日間でした。
( 1) はじめに
( 2) Chakrabongse Villas について
( 3) Chakrabongse Villas の朝食
( 4) 王宮を見学
( 5) Coconut Palm でランチその1
( 6) 移動には、水上交通を活用
( 7) Benjarong でタイ宮廷料理を満喫
( 8) Wat Arun(暁の寺)見学
( 9) Wat ho(涅槃寺)見学
(10) Coconut Palm でランチその2
(11) Indigo Bar & Restaurant でフレンチディナー
(12) Wang Lang散歩
(13) Chakrabongse Villas でのんびり
(14) Chakrabongse Dining で夕景とタイ料理を満喫
(15) 終わりに
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今回、旅先で読む本に選んだのが、三島由紀夫の遺作『豊饒の海』全4巻です。第3巻が、Wat Arun(暁の寺)をモチーフとした『暁の寺』という作品だったこともあり、現地を訪れる前に読んでおこう・・・という、いつもの、軽いノリで。
物語にグイグイと引き込まれ、1巻、2巻と読み進み、いよいよ『暁の寺』が舞台の3巻!・・・と思ったら、予想外の展開。この作品で、タイトルの「暁の寺」が登場するのは、僅か2回。
1度目は、3巻の冒頭で、Wat Arunそのものが。
塔の重層感、重複感は息苦しいほどであった
この塔は永きに亘って、色彩を持ってする暁鐘の役割を果たしてきたのだった。・・暁と同等の力、同等の重み、同等の破裂感を持つように造られたのだった。
2度目は、3巻の後半に、夜明けの富士というかたちで。
富士は黎明の紅に染まっていた。・・それは端正な伽藍の屋根、日本の暁の寺のすがただった。
2つの「暁の寺」が意味するもの、『豊饒の海』の中での位置づけ、唯識、阿頼耶識・・・これらのことが租借できないまま物語が終り、私の休暇も終わってしまいました。嗚呼。私にとっての5月のタイは、Wat Arunの圧倒感と、暑さと、このモヤモヤが、一緒くたになって記憶に残りそう。三島由紀夫の初期の作品「花ざかりの森」から読み始めることにします。