8月29日(土)
前日の夜に18きっぷで白河入りした私たち。9:00にレンタカーをピックアップすると(営業時間が遅っ!)、白河散策を開始します。
●白河ハリストス正教会
最初に訪れたのが、
白河ハリストス正教会。司馬遼太郎が『街道をゆく 白河・会津のみち』の中で、「野バラの教会」「山下りん」と題し、20ページ以上を割いて紹介した、1914年建築のロシア正教会です。

司祭が常在していないため、月に1度の礼拝の日以外は扉を閉めており、内部を見学する際は、事前に電話予約して、信者の方に鍵を開けてもらうことになります。(
内部の写真撮影は不可)
案内に従って、靴を脱いで建物内に入ります。壁は白漆喰で、天井は高い8角ドームになっていて、窓から差し込む陽ざしによって、光に満ちた空間を作り出しています。ミサは立式で行われるため、信者の祈りの場である「聖所」には椅子はなく、正面のイコノスタシスという壁には、たくさんのイコンが飾ってあり、その奥が、司祭しか入れない「至聖所」となっています。イコンは「偶像礼拝するもの」ではなく、「イコンに表れている聖なるものによって信者の心を神に導くもの」と説明を受けます。


イノコスタシスの重要な部分を構成するのが、
山下りんのイコン。中央の王座の扉の「マリア」「ガヴリエル」が向かい合った受胎告知、王座の左右に配した金箔下地の「ハリストス」「聖母」、王座の上を飾る「最後の晩餐」、いずれもりんの作品で、このほかに、非公開の作品「聖三位一体」「眠りの聖像」「大十字架」合わせて
8点が教会にあるそうです。
教会内のイコンの大半は、献堂時にロシアの教会から寄贈された18-19世紀に描かれたもの。本国では革命後、ロシア正教は弾圧されたため、これらのイコンは、とても貴重な存在となっているそうです。白河の気候が幸いして保存状態は良いものの、修復は必要。イコンや聖堂は、
福島県の重要文化財に指定されていますが、県の補助も年々減り、これと僅かな信者だけで、支えていくのは難しくなってきているそうです。五島列島の教会のことを思い出しました。現在、敷地の一部を月極め駐車場にしたり、希望者には教会を公開し、教会の存在を知ってもらう取り組みを細々としているそうです。
気持ちばかりの献金をして、教会の外に出ようとしたら、「鐘を鳴らしてみませんか?」と薦められました。「心の綺麗な人は澄んだ綺麗な音を響かせることができる」のだそうです。お言葉に甘え、綱を引かせていただいたのですが、離すタイミングが悪かったのかな。「コツン」と曇った小さな金属音がしただけ・・・。相棒大笑い。「君もやってごらんよ」と綱を引かせると、教会の鐘らしい大きく伸びやかな音を響かせます。・・・何かがおかしい。

垣根には、野ばらが赤い花を咲かせ、ビザンチン様式の小さな木造の聖堂の白さを引き立てています。とても素敵な教会でした。1時間以上、詳しく解説して下さって、ありがとうございました。
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●白河ハリストス正教会
住 所:福島県白河市愛宕町50
電 話: 0248-23-4543
最寄駅:JR「白河」駅より徒歩5分
備 考:建物内部の見学する際は、事前に電話予約が必要。
当日は、記名・献金(心づけ程度) *""*""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*""*""*"""*"""*"""*