数週間前、私の○回目の誕生日祝いを兼ね、伏見のフレンチレストラン
Le ChevalierでDinnerを。店は、錦通りを1本北に入った通り沿いのビルの3階にあり、エレベーターのドアが開くとそこは別世界。店内は、スタイリッシュな内装に、ダウンライトされた照明がムーディーな、派手さはないけれど落ち着いた大人の空間といった風情。ドレスコードに相応しく、冷房がしっかり効いていて、カキーンと涼しいのも嬉しい。稍あって案内されたのは、片側の壁が鏡になった、窓側のテーブル席。仕切りはないけれど、個室っぽい空間になっていて、なかなか良い感じ。隣客のことを気にせず、ゆったりと過ごせそうです。
まずは食前酒をもらって、きょうのオーダーを決めます。メニューは、2つのコースとアラカルトという構成になっていて、女性用のメニューにはお値段の記載がありません。6-7皿で構成されるコース料理が評判のようでしたので、少し迷ったのですが、先日のRobuchonのことを思い出し、初志貫徹。好きなものだけをたっぷりといただきましょう・・と、この日もアラカルトにしました。
*食前酒
*Amuse 1 干しタラとタプナードのカナッペ
*Amuse 2:エビのジュレ トマトのシャーベット
*鶉のコンフィ サラダ仕立て ジロール茸のマリネ添x2
*スペイン イベリコ豚のソテー ソースマデイラ x2
*Fromage
*Avanc Desert
*栗のミルフィーユ、グレープフルーツ
*赤いフルーツのスープ
*ワイン:Chateauneuf du Pape 1999 /
Maison Tradieu Laurent
*Petit Fours &
LE PALAIS DES THESの紅茶
●Chateauneuf du Pape 1999
この日は、私の誕生日ということで、ワインは私好みの「Chateauneuf du Pape」で。作り手は、著名なワイン愛好家Michel Tradieu氏と新進気鋭のネゴシアンDominique Laurent氏が共同出資して1994年に設立したという
Tradieu Laurent。色は、濃い赤紫。熟したプラム、乾燥イチジク、干しぶどうなどのドライフルーツの香りに、ローリエ、胡椒、土が合さった香りがします。古木のGrenache主体とあって、口当たりはしなやか。果実の凝縮感に溢れ、タンニンはまろやかな、ボリューム感のある味わい。時間を置くと、花のような香り、ミネラルの複雑な香りも加わり、ふくよかさを増してきます。力強さだけではなく、繊細さ上品さを併せ持ったChateauneuf du Papeでした。料理との相性も◎
●Amuse 1
一口サイズのAmuseが2品続けて供されます。1品目は、干しタラのペーストにオリーブのタプナードを重ね、イタリア産の黒オリーブの串刺しを添えたカナッペとカリっとあげたポテトのチップスの組合せ。
●Amuse 2
2品目は、海老のジュレにトマトのシャーベットをトッピングした夏らしい涼しげな1品。小さなスプーンですくって口に入れると、舌にひんやりした感触が伝わると同時にさっと溶けて、消えていきます。酸味が爽やか。口の中がさっぱりしたところで、今夜のお食事がスタート。ここで位置皿が下げられます。
●鶉のコンフィ サラダ仕立て ジロール茸のマリネ添え
上品なお店なので、ほぐしたコンフィがちょろりと出てくるだけかと思いきや、鶉は骨付きで登場。ハーブ野菜を敷いた皿に鶉のコンフィが盛られ、ジロール茸のマリネ、ミニトマト、グリーンマスタードソース、ヨーグルトソースが彩り良く添えてあります。下味の付いた鶉コンフィは、表面は香ばしく、お肉はホロホロと柔らかく、旨みたっぷり。夏が旬のキノコ=ジロール茸は、アンズのようなきれいなオレンジ色をしていて、香りと歯応え良さが素敵。割合とビネガーの酸味をしっかり効かせたマリネで、鶉とも好相性。夏らしい一皿です。
●スペイン イベリコ豚のソテー ソースマデイラ
濃厚なマディラソースを敷いた皿に、肉厚のイベリコ豚のソテー3枚が盛られ、ミニコーン、インゲン、ニンジンなどの野菜が彩り良く添えてあります。イベリコ豚は、赤身の部分は締りがあって、程好い噛み応えがあり、噛み締める毎に肉の旨みが口に広がります。脂の部分は甘く、豚好きにはたまりません。甘酸っぱいマディラソースと一緒に食べると、なお美味しい。ちょっと残念だったのが、焼き加減。割合としっかりと火が通ってまして、どちらかというと、レアとミディアムの間くらいの火入れが好みな私には、もうちょと生っぽい部分を残してくれた方が良かったかな。豚でしたし、好みが分かれるところかもしれないので、オーダー時にちゃんとリクエストをすべきでした。でも、それ以外は、大満足。
●Fromage
メインのお皿を下げたところで、「ワインが残っているようですので、チーズをお持ちしましょうか?」との声がかかります。嬉しいですね。程なくして出てきたチーズワゴンを見てびっくり。シェーブル、セミハード、白カビ、ウォッシュ、青カビ、フレッシュ・・・とざっと20-30種類はあったんじゃないかな。熟成状態がなかなか素敵なものが多く、眺めているだけで楽しくなります。名古屋でもこういう風なチーズを揃えた店があったなんて、ちょっと嬉しくなってしまいます。
●Avanc Desert
一口サイズの、マンゴーのソルベとクリームブリュレが盛られています。爽やかなソルベで口の中がすっきりします。
●モンブランのミルフィーユ仕立て
栗のクリームのミルフィーユ仕立てに、グレープフルーツが添えてあります。
●赤いフルーツのスープ仕立て
こちらは相棒のチョイス。赤いフルーツたっぷりの、見た目は酸っぱそうな真っ赤なデセール。フランスやイタリアでこの手のものを食べると、カキーンとした酸味とカスタードの甘さのコントラストにクラクラするのですが、ここは日本。魅惑の酸味が感じられない、とても甘く、ただただ甘いだけのデザートだったようです。
●Petit Fours & 紅茶
食後のPetit Foursは、クッキー、ショコラ、メレンゲ、チーズケーキ、ゼリーなどの一口サイズの小菓子が彩り良く盛られています。レストランでも我が家でも、大抵、食後はエスプレッソにするのですが、こちらでは、
LE PALAIS DES THESの紅茶がいただけると聞き、珍しく紅茶にしてみました。色々なブレンドの茶葉を入れた透明なガラスの器を並べたトレイが運ばれ、気になる紅茶の香りを確かめてから、気に入った香りの紅茶を淹れてもらうことができます。紅茶選びの時間も楽しく、なかなか楽しい演出です。紅茶の優しい香りとともに、きょうの食事を締め括りました。
ここは、落ち着いた雰囲気で、家庭料理の延長線ではないフレンチが楽しめるレストラン。アラカルトのポーションは、意外としっかりしていて、Amuse2皿、Desert2皿もついてきますので、結構お腹が一杯になります。チーズの品揃えも頑張っていて、チーズワゴンは見応えあり。名古屋でこれだけ揃えているお店はそうはないでしょう。秋冬シーズンが楽しみですね。
サービスは、担当する人によって、バラつきがありますが、全体的にソツがなく、客と適当な距離感を持って接してくれるところは好感が持てます。ワイン以外の飲物やチーズを担当しているスタッフはまだ若く頼りなげで、こちらの要望に対する説明は決して流暢ではないのでれど、彼なりに精一杯、こちらに応えようとする姿勢が伝わってくるので、ちょっと応援したくなるものがありました。(といってもこちらが出来ることは、彼が選んでくれたもの、彼がしてくれたことに対して、正直な感想をしっかり伝えることくらいなんですが・・)
大切な人とゆったりワインを酌み交わしたい時に訪れたい大人の店。この日も気が付いたら、3時間半。うんうん。いいペース。いい感じですね。急かされることも、待たされ過ぎることもなく、我々のいつものペースで楽しめました。レストランには、そこで過ごす時間にお金を払う・・・というのが私の基本。過ごした時間の快適さに見合うコストだったかな。名古屋で最近訪れた店の中では、飛び抜け感があります。冬場にちょっと期待。
+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+
● Le Chevalier (フレンチ)
住 所: 名古屋市中区錦2-12-21 錦カナアンビル3F
電 話:052-220-5820
最寄駅:下鉄東山線「伏見」駅 徒歩5分
+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+-・-+