2日目(12月30日) つづき
今回の会津旅行で楽しみにしていたことの1つが、酒蔵訪問です。
◆夢心酒造
「12月30日の午後」というピンポイントな日程でアポイントが取れたのが、銘酒「奈良萬」を醸す喜多方の蔵元・
夢心酒造です。私がいつも「
ロジネコ食堂」で愛飲しているお酒がどういう風に造られているのか、興味津々でお訪ねしました。
夢心酒造は、創業明治10年(1877年)創業。酒米は地元産の「五百万石」、仕込水は飯豊山の清冽な伏流水、酵母は福島県が開発した「うつくしま夢酵母」と、地元産にこだわって酒を醸す蔵元です。
広い敷地内には、仕込蔵や貯蔵蔵が並び、工場然としています。案内して下さった11代目蔵元の東海林伸夫社長のお話によると、「朝日蔵」と命名された2棟の仕込蔵は、大量生産に対応するため、1981年と1988年に億単位の設備投資をして建設。最盛期は、年間1万1000石の生産量があったそうですが、現在は2000石とのこと。「生産量が5分の1になっても成り立つ業界」・・・なんだそうです。
「他の蔵とは違うので驚きますよ」
蒸米室に足を踏み入れると、巨大な「連続蒸米機 」がでんと構えていました。洗米し、タンクで浸漬した米は、この蒸米機のベルトコンベヤーをゆっくりと通る間に蒸し上げられる仕組みになっています。1度に蒸すことができる酒米は2t。熱々の蒸米は、放冷機で冷やされ、エアーシューターで室に搬送されます。
従来、杜氏の経験と熟練の技によって行われてきたお酒造りで重要な麹造りも「自動製麹盛棚」による完全自動。蒸米を棚の上に自動的に薄く盛り、かき混ぜたり、熱風や冷風を送りながら、温度や湿度を24時間管理しています。これによって、蔵人が夜中の作業から解放されるようになったとのこと。
精密な温度管理をする制御システムは、「再現性」を重視した酒造りをする夢心酒造の心臓部。計測器がいくつも並んだ大きなパネルは、20年以上経っても現役。
次は仕込み蔵。上のフロアから見た仕込みタンクの上部と、階下から見上げたタンクの下部。タンクの底は、まんべんなく櫂が回転するよう丸くなっています。上下2箇所に設置した温度計からデータを取り、醪の温度を調整。
「ここだけは、昔ながらの酒蔵の雰囲気を残しているかな」と案内していただいたのは、蔵造りの貯蔵室。東北大震災の際、喜多方を離れていた社長は、タンクの倒壊を覚悟したそうですが、幸い、地震の影響はなかったそうです。
出荷を待つ「夢心」。冬場は冷蔵庫より外気の方が温度が低い喜多方ならではの常温保存。
県外の私には「奈良萬」ブランドに馴染みがあるのですが、生産量の6-7割は地元向けの「夢心」なのだそうです。「愛知県で奈良萬が飲めるの?」という社長の第一声にはこちらもびっくり(^^)
今回案内していただいて、「蔵人の負担を軽減しつつ、いかに伝統の味を安定して守り続けることができるか」に苦心し「再現性」を重視した酒造りに取組む蔵の様子がよくわかりました。驚いたのは、地元向けの普通酒も、奈良萬のような繊細な味の純米吟醸も同じ大量生産の装置で造っていること。これも夢心酒造さんの技の蓄積と総合力があってこそ、なせる業なんでしょうね。勉強になりました。
蔵元でもらった観光地図を片手に白く染まった蔵のある町並みを散策。
・・・のつもりが、風雪の勢いが増したので、退散。
◆食堂 なまえ
寒いわ、小腹もすいたわ・・・で、喜多方ラーメン店「食堂なまえ」へ。15時という中途半端な時間帯にもかかわらず、1階席は満席。2階の座敷に案内されました。店を代表する『極太手打ちラーメン』を注文。具はチャーシュー、ナルト、メンマ、ネギ。スープは、鶏ガラ、豚骨の動物系ベースで、透き通った綺麗な色合いのイメージ通りのすっきりとした醤油味。冷えた身体を優しく癒してくれる穏やかな味わい。麺は、縮れた極太の平打麺。ツルリとした舌触り、モッチリとした食感、しっかりとしたコシがあり、麺にウマ味があります。スープとの相性もヨロシク満足至極。ご馳走様でした。
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●食堂なまえ(喜多方ラーメン)
住 所:喜多方市字永久7693-3
電 話:0241-22-6294
最寄駅:JR「喜多方」駅より徒歩10分
備 考:支払いは現金のみ 麺切れ終了*""*""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*""*""*"""*"""*"""*
15:51 喜多方 → 16:13 会津若松
僅か2時間半程の滞在で、喜多方を後にします。
会津若松駅到着。雪をかぶった白虎隊像が出迎えてくれました。