2月25日(金)
朝7:50に名古屋を出発した飛行機は、定刻通り9:15に熊本空港に到着。シャトルバスで熊本市内へ向かいます。
●加藤清正像
肥後国熊本と言えば、「清正公(せいしょうこう)さま」。熊本城を築城した肥後国熊本藩主・加藤清正です。
熊本城への登城口となる行幸橋のたもとに、加藤清正の銅像が、桔梗紋の具足、蛇の目紋の桶側胴、陣羽織、長烏帽子、手に采配といった出で立ちで、熊本城を守らんとした姿で鎮座してらっしゃいます。その後ろでは、馬具櫓の復元工事が着々と。
肥後人は、「肥後もっこす」という言葉があるように、議論好きで、一人一党のお国柄。戦国時代になっても、無数の勢力が互いに鎬ぎ遭う状態が続き、佐々成政が鎮圧に失敗しています。一揆が相次ぐ肥後を見事に統治したのが尾張出身の加藤清正です。
司馬遼太郎は、清正が肥後人に受け入れられた理由について、
清正の雄大な体格と際立った武者ぶりが肥後人好みだったこと、単に統治するだけでなく、
、風景としても収穫としても、目に見え、升で量れる農業土木に力注ぎ、民の暮らしを潤したことを挙げています。
清正が肥後を治めたのは、わずか24年ですが、肥後の人たちの崇敬を集め、今も根強い人気があります。
●熊本城
熊本城は、徳川家康が、薩摩藩の島津氏がいつ反旗を翻してもここで封じ込めることができるように、清正に築かせた城です。実践本位の巨大な熊本城は、300年に渡って薩摩を見張り続ける役目を果たしました。
熊本市役所14階の展望ロビーから見た熊本城。高石垣に聳える飯田丸五階櫓、樹齢800年の大クスノキ、そして石垣の間を幾重にも折れ曲がる複雑な枡形構造が見渡せます。
加藤家の後に肥後にやってきた細川家は、清正への根強い人気を治世に生かすため、清正を立てることに徹します。お国入りの際、清正の霊位を先頭にかざして入城し、藩主・細川忠利は、天守台で清正の廟所に向かい「あなたのお城を預からせていただきます」という所作までしたそうです。司馬は「
このことばが肥後人の人心を、春の海のように凪がせたはずである」「
真の政略とはそうみうものでもあるのだろう」とその印象を『春灯雑記』に書いています。
天守と東竹の丸の櫓群の間に、復元された本丸御殿が見えます。細川家が清正を立てたのは一時の演出ではなく、城内に清正を祀り、歴代藩主は、明治維新まで、城外の屋敷に住み続けました。
●花畑邸跡
細川家の歴代藩主が住まいとしたのは、清正が熊本城外に造営した花畑御殿です。
熊本城の南側の交通センター横に、御殿の一部が「花畑公園」として残され、樹齢700年の楠が今も堂々と聳えています。
時代が明治に変わり、薩摩と中央政府が対峙する表舞台に熊本城が登場します。1877年(明治10年)西南戦争です。
籠城戦を戦う熊本鎮台司令長官・谷干城たちを薩摩軍の包囲を解いた山川浩中佐は、花畑邸の近くから、馬具櫓に向かって、発砲停止の喇叭を吹かせ、隊旗を掲げて、援軍の到着を知らせたそうです。
薩摩人 みよや東の丈夫が
提げ佩く太刀の 利きか鈍きか
山川は、旧会津藩士で、戊辰戦争の日光口の戦いで敵将で旧土佐藩士だった谷干城と対戦。
彼岸獅子に扮して包囲された若松城に無血入城した鮮やかな戦いぶりを谷が注目し、谷の誘いで陸軍に仕えました。戊辰の恨みを晴らさんと臨んだ西南戦争では、籠城する谷の救出に一番乗りで駆けつけました。
●谷千城の胴像
熊本城を囲むように流れる坪井川沿いの厩橋近くに、西南戦争の熊本城攻防戦で籠城戦を指揮し、政府の援軍が来るまで熊本城を守りきった、熊本鎮台司令長官・谷千城の銅像が建っています。
谷千城は、戦闘に不慣れなわずかな鎮台兵を率いて、50日にわたる籠城戦を戦い、熊本城を守り切った勇将です。
司馬遼太郎は『翔ぶが如く』の中で、薩軍の猛攻を耐え凌ぐことができたのは、
守将谷干城の私心のない統率力によるもの
と讃えています。
また、谷を熊本鎮台司令長官に選んだ陸軍卿・山縣有朋のことを
「谷という男は、籠城の守将になるためにうまれてきたような男だ」と言いたいくらい谷という男の性格を見抜いていたに違いない
という独特の言い回しで評しています。
「熊本城は、この青竹でひとたたきごわす」と豪語した薩将・桐野利明率いる薩軍は、「清正に負けた」と敗退。清正の築いた熊本城は、薩摩藩の押さえとした徳川家康の意図を、時代を超えて果たしたことになります。
谷千城の銅像が建つ高橋公園内には、幕末維新に活躍した人々の銅像も建っています。
左から、勝海舟、坂本龍馬、横井小楠、松平春嶽、細川護久。横井小楠が堂々と中央に建っている構図が、おもしろい。
●駅前花屋
熊本最初の昼食は、駅の近くにある、昼は食堂、夜は居酒屋の「駅前花屋」で。ランチは一律700円(2011年2月現在) その日のお品書きには、揚げ物、煮物、炒め物など数種類のおかずが並んでいます。我々は、牛スジ煮込みをもらうことにしました。
この日の定食には、頼んだおかずの他に、ご飯、味噌汁、納豆、ほうれん草の胡麻和え、タクアン、みかんが付いていました。ボリューム満点。牛スジ煮込みは、しっかり煮込まれていて、少し濃い目の甘辛味が、ご飯のおかずにぴったりでした。
昼には店の外に行列が出来る人気店なので、食べたらすぐ退席が基本。安い早い腹一杯のお店でした。
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●駅前花屋 (食堂)
住 所:熊本市春日2丁目1-12
電 話: 096-353-2809
最寄駅:JR「熊本」駅徒歩3分
備 考:支払いは現金のぬ*""*""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*"""*""*""*"""*"""*"""*